
暫定税率は、1974年に道路整備を進めるための財源として導入されたのが始まりです。ガソリンの販売時に課される揮発油税など(「揮発油税」および「地方揮発油税」のことを指します)に含まれるもので、1リットル当たり25.1円です。軽油の場合は、「軽油引取税」に含まれ、1リットル当たり17.1円です。
ガソリンの暫定税率は2025年(令和7年)12月31日、軽油の暫定税率は2026年(令和8年)4月1日に廃止されます。
⛽️ ガソリン・軽油の暫定税率廃止ガイド
💡 暫定税率とは?その歴史と現状
暫定税率とは、1974年に道路整備を進めるための財源として導入された、揮発油税(ガソリン税)や軽油引取税に上乗せされている税率のことです。約半世紀にわたり、「当分の間」の措置として継続されてきました。
| 燃料の種類 | 含まれる税金 | 暫定税率(上乗せ分) | 廃止前の税率(合計) |
| ガソリン | 揮発油税・地方揮発油税 | 1リットル当たり 25.1円 | 1リットル当たり 53.8円 |
| 軽油 | 軽油引取税 | 1リットル当たり 17.1円 | 1リットル当たり 32.1円 |
⛽️ ポイント: 暫定税率が廃止されると、この上乗せ分の税負担がなくなることになります。
📅 廃止スケジュールと最新の決定事項
長らく議論されてきた暫定税率の廃止ですが、2025年11月下旬の法案成立により、以下の通り具体的なスケジュールが決定しました。
2025年11月以降のガソリン小売価格のイメージ

2025年11月以降の補助金の拡充額
※その他の油種については、従前どおり(重油・灯油:5円/L、航空機燃料:4円/L)
*資源エネルギー庁のHPより

1. ガソリン(揮発油税・地方揮発油税)
- 廃止日:2025年(令和7年)12月31日
- この日付をもって、1リットル当たり25.1円の上乗せ税率が撤廃されます。
2. 軽油(軽油引取税)
- 廃止日:2026年(令和8年)4月1日
- この日付をもって、1リットル当たり17.1円の上乗せ税率が撤廃されます。
| 燃料の種類 | 廃止が決定した日 | 廃止される金額(1Lあたり) |
| ガソリン | 2025年12月31日 | 25.1円 |
| 軽油 | 2026年4月1日 | 17.1円 |
📉 価格への影響:本当にその分安くなるの?
暫定税率が廃止されたからといって、廃止当日に価格がそのまま25.1円(ガソリン)/17.1円(軽油)下がるわけではありません。
1. 補助金との関係
資源エネルギー庁は、急激な価格変動を避けるため、暫定税率の廃止に向けて段階的に燃料油価格への補助金を拡充してきました。この補助金は、廃止日をもって終了することが決定しています。
| 燃料の種類 | 廃止日 | 補助金終了時期 | 価格変動の要因 |
| ガソリン | 2025年12月31日 | 2025年12月31日 | 廃止と補助金終了が同時。在庫の入れ替わりに伴い、徐々に減税分が価格に反映される見込みです。 |
| 軽油 | 2026年4月1日 | 2026年4月1日 | ガソリンと同様に、徐々に価格に反映される見込みです。 |
2. 在庫と市場の変動
石油元売やガソリンスタンドの在庫には、すでに暫定税率が課された価格が含まれています。この在庫が入れ替わるには時間がかかるため、価格への反映は徐々に進むことになります。また、原油価格や為替レートといった市場価格の変動も、当然ながら価格に影響を与えます。
3. 「タックス・オン・タックス」
ガソリンや軽油には消費税も課税されています。この消費税は「税金を含んだ価格」に対してかかるため、税金が下がることで、消費税分も含めたトータルの負担軽減効果が期待されます。
🔍 なぜ廃止されるのか?
暫定税率の廃止は、主に以下の目的で行われます。
- 家計負担の軽減: 長引く物価高騰に対し、国民の燃料費負担を軽減する。政府試算では、1世帯あたり年間約12,000円の負担軽減効果が見込まれています。
- 物流コストの削減: 軽油は主に物流を担うトラックなどに使われるため、軽油引取税の暫定税率廃止は、物流コストの削減を通じて最終的な商品価格の抑制にもつながる可能性があります。
- 道路特定財源の一般財源化: 暫定税率はもともと道路整備に特化されていましたが、現在は一般財源化されています。今回の廃止により、税制の簡素化が進みます。
